「声が、出ない。」
口を開けようとした瞬間、言葉が喉に張り付く。
頭の中には言いたいことがある。
でも——出てこない。

人前で話すのが怖い。
声が震える。
頭が真っ白になる。
うまく話せない自分が情けない——
そう感じているのは、あなただけではありません。
私には吃音があります。
言葉を発する瞬間に詰まってしまう難発、
音を繰り返してしまう連発、
そしてごまかすために言葉を引き伸ばす伸発。
この3つを抱えながら、笑いヨガ講師として17年間、人前に立ち続けてきました。
この記事では、吃音と向き合いながら話し続けてきた
私の体験を正直にお伝えします。
うまく話すための技術ではなく、怖さと共に生きていく方法を。
私の吃音——3つのどもりと17年間の格闘

私の吃音は3種類あります。
ひとつ目は難発。言葉を発しようとした瞬間に詰まってしまう状態です。
「おはようございます」と言おうとして「(……)っ、おはようございます」となる。
声が出るまでの数秒間が、とてつもなく長く感じます。
ふたつ目は連発。
音や言葉の一部を繰り返してしまう状態です。
「こんにちは」が「こ、こ、こんにちは」になる。
自分でも止められない。
みっつ目は伸発。
どもりをごまかすために言葉を引き伸ばす状態です。
「あした」が「あーーあーした」になる。
これは意図的にやっていましたが、それ自体が苦しかった。
人前で話すたびに、この3つがいつ来るかわからない。
それが怖かった。ずっと、怖かった。
ごまかし続けた日々——公園での発声練習
人前で話すのが怖くて、ごまかす方法をたくさん試しました。
早口なら、ごまかすことが出来ると思い
わざと早く話たりしました。
そしたら何を言っているか分からないと。言われました
また言葉を引き伸ばしてどもりを隠す。
詰まりそうな言葉を別の言葉に置き換える。
話す順番を変えて、どもりやすい音を避ける。
公園で一人、発声練習をしたこともありました。
「おはようございます」「よろしくお願いします」——
木に向かって、何度も何度も繰り返した。
一人の時は、うまく話せる。
でも人前に出た瞬間——また詰まる。
うまく話そうと意識すればするほど、
考えすぎて、突然難発が来る。
喉が固まる。声が出ない。
「ごめんなさい、声が出なくなりました」
ある日の講座の途中で、完全に詰まってしまいました。
会場が静まり返る。そのとき私は、はじめて素直に言いました。
「ごめんなさい。いま、声が出なくなりました。」
最初は恥ずかしかった。
カッコ悪いと思った。
でも——その瞬間、客席がふっと和らいだのを感じました。
笑ってくれる人がいた。
「大丈夫ですよ」と言ってくれる人がいた。
隠すより、素直な方が、人の心に届いた。
それが、17年間で一番大きな気づきでした。
開き直りではなく——「これも私だ」と受け取るまで

「どもりを直そう」としていた頃は、苦しかった。
どもるたびに「また失敗した」と自分を責めた。
うまく話せた日は安心して、詰まった日は落ち込んだ。
その繰り返しが、17年間続いた。
でもある時、気づきました。
どもりにフォーカスすればするほど、
パフォーマンスが落ちる。
お客さんの笑顔にフォーカスすると、どもりが消える。
内側に向くと、怖さが増す。外に向くと、喜びがある。
「笑っていいですよ」と先に言う
今では人前に出る前に、こう言います。
「どもることがありますが、笑っていいですよ。」
先に言ってしまうと、楽になります。
どもった時に「あ、今日はひどいですね」と自分で笑える。
笑いヨガの笑いでごまかすこともある。
これは逃げではありません。
17年間かけて見つけた、私なりの戦い方です
人前で話すのが怖いあなたへ——怖さは消えなくていい

人前で話すのが怖い気持ちは、消えません。
17年経った今も、怖い時はあります。
でも——怖さより大切なものを見つけた時、人は動けます。
人前に出る前、私はいつも心の中でこう言います。
「私はプロだ。どもって立ち止まるより、目の前の人と笑顔になる方を選ぶ。」
うまく話せなくていい。
完璧に伝えなくていい。
あなたの声は、どもっていても——ちゃんと届きます。
まとめ|それでも話し続けた理由
17年間、どもりながら話し続けてきた理由はひとつです。
目の前の人の笑顔が、どんな怖さよりも大きかったから。
吃音は個性です。
怖さは消えなくていい。
怖さより大切なものを、見つけてください。
それだけで——人前に立つことが、少しだけ変わります。


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